『平グモちゃん-戦国下克上物語-』感想

最終更新日

あなたは18歳以上ですか?

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『平グモちゃん -戦国下剋上物語-』

 

このゲーム、松永久秀が主人公のアドベンチャーゲームという情報を教えていただいたのですが…そんなゲームなら飛びつくであろうところを躊躇させたのが「(一応)18歳未満お断り!」のゲームであること、でした。

しかも、今、新品をお得に入手できる方法が、そういう方面の雑誌を買うとおまけで付いてくる、というものでして…

さすがにどうしようか迷っていたところに、

このイケメンが三好長慶です。」

と追加情報をいただいて、恥じらいが吹っ飛びました。即購入しました。(その節はありがとうございました!)

 

一通りプレイしてみて言えることは、18歳未満お断り要素で迷っている方は、即購入してください。プレイしていて、ホントに時々、そういう場面になるのですが、そうなって初めて「あっ、そういえばそういうゲームだった。」と思い出すくらい、肌色要素がありません。

逆に、それを求めて購入した方には、なんだか知らない人がいっぱい出てくる歴史物語を延々と見る羽目になり、楽しめたのかどうかと不安になってくるほどです。

 

以下、なるべくネタバレは避けますが、ストーリーについて触れてますので、未プレイの方は注意!

 

1. ストーリーとゲームシステム

ストーリーは、前述のとおり松永久秀が主人公で、三好家時代から信長に仕えるまで、戦国初期からの三好家周辺畿内史ガッツリで、三好家好きにはホントに楽しめる内容でした。

しかも。

三好家だけじゃなくて、細川晴元とか細川氏綱とか出てくるんですよ?

松永久秀の家臣として、高山友照とか土岐頼次とか出てくるんですよ?

もちろん、足利義輝・細川藤孝が出てくる上に、伊勢貞孝も出ます。

あと織田信長と明智光秀と羽柴秀吉も出ます。

さらに、松永久秀の描かれ方が「三好家を乗っ取ってやろう」ではなく、「長慶様を尊敬してます!俺が守らねば…!」です。

いや、最終的に乗っ取るルートもあるんですが、それでも最期は「これで良かったんですよね…長慶様…」とか言ってますからね。

作者の方は、かなり戦国畿内史に詳しい方に違いないです。大河ドラマのごとく時代考証に誰か付いているのでは…と思えるくらいでした。

 

ゲームシステムはアドベンチャーゲームで、久秀の選択によって4人の女性のうち誰かとカップルになっていくという、よくある女性(もしくは男性)攻略系のゲーム……かと思いきや、全然違います。

私が知っている範囲での女性(もしくは男性)攻略系のゲームは、主人公の言動によって相手の好感度が上がって、相手にされていなかったのが徐々に気にかけてもらえるようになったり、ツンツンしてたのがたまにデレたり、そして、目出度くカップルに…というものだったんですが…

このゲームでは、主人公(久秀)の選択で、女性たちの態度はほとんど変わりません(官位で優しくなる人はいます)。

では何が変わるのかと言いますと、久秀の言動と歴史が変わります。

そういう意味では正統派のアドベンチャーゲームで、ホントになんでこれをエ◯ゲーとして売り出してしまったんだろう…とすら思えます。購入ハードルが高くなっているだけなのでは。

むしろ、久秀の言動で三好兄弟の好感度がかなり変わりますので、だんだん仲良くなっていくとか嫌われるとかの人物攻略系ゲームとしては、三好兄弟攻略ゲームと言えるかもしれません。

 

ストーリーが進んでいくと、「史観年表」が追加されていき、分岐や追加ストーリーがある場合はアイコンが変わっていて、しかもそこからやり直せるので、全部のストーリーを見るのがとても楽……

と最初は思っていたんですが。

ゲームを進めていくと、突然、評定が始まる歴史ゲームになり。

そこで選んだ内政や軍備の数値によって、その後のストーリーが決まるところもあるという…しかも各10段階。

いや無理でしょう。パラメーター多すぎでしょう!

 

普通に自力で一通り終わったかな、というところで、攻略度はこのくらい。

ここからは、ネットの情報を頼りまくって、なんとかコンプリートしました。

コンプリートすると、最後にオマケの会話があるので、根気のある方は是非頑張ってください。

 

ちなみに、ちょっとネタバレになりますが、私が詰まりまくったのは、

・白久秀ルートと黒久秀ルートでほぼ同じストーリーがあるのに、どちらか一方しか見ていなかった

これでした。

黒久秀ルートに入るためには、パラメーター+途中の選択によっても分かれますので、何が何やらになったら、もう最初からやり直したほうが早いと思います。スキップ機能は優秀です。

 

ただ私の場合、心の赴くままに選択していったら、かなり初期の段階で、もうここでゲームやめたい、これがトゥルーエンドでいい、というような三好家超ハッピーエンドルートに行き着いてしまい。

その後コンプリートしようとしたら、三好家滅亡を何度も見る羽目に陥り、なんだこの拷問…という、普通以上に困難な道のりでした。

 

 

ここからは、各キャラクターについて。

思いっきりネタバレですので、要注意です。

 

2. キャラクター

個人的に印象に残ったキャラクターたちについて書いていきます。

 

 松永久秀

きゅーちゃん。主人公。

史実では、三好長慶より年上ですが、どう見ても年下に見えます。

武士になるルートに入ると、最初に出会った三好長慶の信念に触れて「なんて素晴らしい人なんだ…!」と尊敬モードに入った挙句に、心の弱いところをホロリと見せられて「俺が守らねば…!」という王子様モードに入ります。ここでは、相方のお姫様がヒロインたちではなく三好長慶である、というのがポイントです。

というか、久秀は見事に長慶に攻略されてますよね。長慶がスゴイのか、久秀がチョロいのか。

三好家時代は概ね長慶様ラブ(?)なんですが、突然、無慈悲な選択肢を提示してきたりするのでこちらが戸惑います。が、ストーリー分岐のためには仕方ないんでしょう。きっと。

どのヒロインを選んでも、そのストーリーの最後までいけば、概ね、久秀は人生に満足している終わり方で、しかも最後は長慶に想いを馳せていますので、私も満足です。

 

 

 三好長慶

イケメンで有能で責任感が強くて、しかも辛い過去を背負った影のある前半のヒロインです。

こんな人に「心のうちを話せるのはお前だけだ。」とか「私はどうしたらいいのだ。」とか言われたら、そりゃ久秀でなくとも王子様モードに入りますよ!

描かれ方は、辛い過去のために心が弱くなってしまい、有能ながらも時に優柔不断になり、三好家の相次ぐ不幸でトドメを刺されるという、まあ広く知れ渡っている人物像です。最期はもう、立ち直ってくれ…久秀助けてあげて…!と願わずにはいられません。

ただ、数あるエンドの中で、長慶が幸せになっているエンドが2つ(※)だけ存在しますので、三好長慶ファンの方はそこを心の拠り所として、コンプのための三好家滅亡ループを乗り切ってください。

しかし、基本的に不幸エンドではあるものの、三好長慶をこんなにイケメンで周辺までガッツリと描いてくれて、作者様には感謝しかありません。

 

(※)2021.4.12追記

2つのルートは、どちらも数少ない長慶生存ルートです。ただし内1つは、普通に見たらただのバッドエンドです。私の主観の中では、長慶生存かつ三好家存続というだけでハッピーエンドに分類されています。

 

 

 三好義賢

三好家次男。義賢名のりには目をつぶりましょう。

久秀には好意的でした。ただ、ゲーム内での立ち位置は、久秀への純粋な好意というよりは、長慶と冬康・一存との調整役といった方が正しいかもしれません。この立ち位置、イメージでは冬康さんだったので、ちょっと意外でした。

おかげで(?)影が薄いんですが、化粧をすると長慶とソックリになるという特技持ちです。

兄上を支えるのは俺だ!という思いが長じて、兄上の変わりが務まるのは俺だ!ルートに入ると、久秀と対立するんですが、最期が細川真之に殺害されるという…マニアックすぎる因果応報が散りばめられています。

 

 

 安宅冬康

三好家三男。第一印象は、なんでポッチャリなの?!

冷静な判断をいつもする人で、自分の意見は温厚な口調でピシッと言います。ほとんどのルートで久秀にとっては扱いにくい人ですが、長慶の過去を話してくれるルートがありまして、冬康さんも辛かったんだね…と切なくなりました。ポッチャリはストレスのせいか…

久秀がどう行動しても、ほとんどのルートで史実通り飯盛山城で亡くなってしまいますので、そういう意味でも切ない人です。

グラ的には、痩せたら義賢よりも長慶に似てると思うんだけどなあ…そういう意味でも切ない人です。

 

 

 十河一存

三好家四男。明らかに他の3人と毛色が違います。

久秀のことは嫌っているというよりも、実力がわからないのに重用しようとする長慶に反対している、という立ち位置です。傍から見れば、一存の言い分もっともです。しかし、反対意見でも長慶にたしなめられれば受け入れますし、実力さえ分かればスカッと好意を見せてくれるので、基本的に素直でいい人です。

個人的に一存の早逝こそが三好家崩壊のキーポイントだと思っていましたので、一存が生存するルートで三好家ハッピーエンドは我が意を得たり!でした。ホントに(史実では)なんで早逝しちゃったんだよう…と最早ゲームとは外れたところに想いを馳せずにはいられません。

 

 

 三好義興

三好長慶の嫡男。

もうね、義興くんはホントかわいいんですよ!性格も明るくて前向きで、誰とでも仲良くなれて、時には大人さえも巻き込んで引っ張っていく。三好家の本物の王子様なんですよ!

王子様だったんですよ……

それがいきなり、風船が割れるかのように、その明るさに影が差してしまったときには、ああああ……この子も無理してたんだよなあ、と。やっぱり長慶とそういうところも親子で似てたんだなあ…と。見ていて一番辛かったかもしれません。

三好家ハッピーエンドルートでは義興くんも幸せになってますので、そこで!そこで救われてください!

 

 

 お曜様

三好長慶の娘。

美人です。さすが三好長慶の娘。

ヒロインの一人で、お曜様自身は、やたらと官位に執着する女性、という描かれ方です。ゲーム内では、自身の辛い過去から頼りになるのは目に見える権威だけ、という価値観で、久秀が官位をもらうと優しくなります。分かりやすい。

最初、さり気なく久秀とお曜様をくっつけようと三好長慶が画策するんですが、さり気なさすぎるのとお曜様の性格とで全く久秀に気付いてもらえず、ただただお父さんの長慶さんが不憫だったりもします。

お曜様ルートを選ぶ=三好家ルートを選ぶ、ということになります。その中でも分岐によって、三好義興がやらかしてしまったり、足利義輝が生存したり、十河一存が征夷大将軍になったりしますので、畿内戦国史好きには一番楽しめるルートかと思います。多分。個人的には、なんのかんのと言って三好家が残っているので、一番楽しめました。(他はツラすぎてな…)

 

 

 平グモちゃん

武野紹鴎の娘。メインヒロインです。一応。

メインヒロインなのに、こんなに言及が遅くなってしまったのは……平グモちゃんルート=(ほぼ)三好家崩壊ルートだったからです。ツライんだよ…

しかも。

平グモちゃん、明るくてサッパリしてて自分の言いたいことはハッキリ言う、という素直で人好きのするキャラクター設定なんですが、どうにもそれが行き過ぎている部分があるような……

もうちょっとこう久ちゃんの(長慶様を想う)気持ちに寄り添ってあげようよ、と言いますか…

もうちょっとこう(三好家一大事の)空気を読もうよ、と言いますか…

主に私の偏見によるところが大なのは重々承知なのですが。

共感できなかった…!

ごめん!

しかし。

最期の最期だけは、あ、やっぱりヒロインだな、という終わり方を見せてくれまして、なんだかそれまでモヤモヤしていたものがスッと無くなりましたよ!

言動はともかくとして、久秀のことを平グモちゃんなりに理解して一緒に道を歩んでいたし、これからもそうなんだね、という、いいエンディングでした。

 

 


以上!

って、張り切って書いたら、三好家界隈だけで終わってしまったのですが、まあ仕方ないですよね。

他の登場人物も魅力的でした。信長とか道さんとか。

 

あと、面白いのが、IFストーリーでも、史実で他の人が起こしたことを再現していたりします。

細川藤孝が起こす本能寺の変みたいなもの。とか。

江戸の町を開こうとする松永久秀とか。

大和が島原みたいになっていたりとか。

歴史を知っていれば知っているほど、隠された伏線を楽しめるゲームだと思います。

 

ということで。なんだか色々書いてきましたが、結論としては、プレイして良かったです!

ちょっと時間が出来たら、三好家ハッピーエンドルートをグルグル回りたいと思います。

(これでいいんですよね・・・長慶様。)

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